これまで熱処理・表面処理について、本コラムにてご紹介してきました。
今回は少し内容を変えまして、私が参考としている熱処理についての本があります。
その中に記載されております内容を以下にてご紹介したいと思います。
※以下引用
熱処理は、古くから私たちの生活に溶け込んできました。
それは私たちの日常会話の中に、熱処理を連想するたくさんの言葉があることからもわかります。
「若いうちに鍛えなければ。」「鉄は熱いうちに打て、だよ」とか
「あいつもなまくらになってきたな。一度ヤキを入れなければならんな」とか
「頭のかたい人、やわらかい人」「真に強い人間は内剛外柔だからな」などの言い回しです。
鉄鋼を高温で鍛えて硬くする、長年使用した鋼材が硬さを失う、硬さややわらかさで人の性格を表す
などの比喩表現は、熱処理を連想させます。
鋼材を加熱し水に漬ける焼入れは、私たちのお風呂の入り方に通じます。
いきなり熱い湯に飛び込むと、血圧が一気に上昇して心臓麻痺や脳溢血を起こす可能性があります。
まずかけ湯をして身体を湯になじませますよね。 鋼材の加熱も、予熱せずにいきなり高温雰囲気の
加熱炉に入れると、熱ひずみで割れる可能性があります。
サウナから飛びだして、いきなり冷水に飛び込むのも危険です。
急冷で血管が収縮して血圧が上がり、脳溢血を起こす可能性があります。
高温のサウナから冷水に入り、急冷することは皮膚を強化するような気がしますが、
これは鋼材の表面焼入れの効果のイメージがあるからではないでしょうか。
鋼材を急冷すると、熱ひずみによる焼割れ が生じます。
人間の場合は血が通っているため、血圧が急上昇して機能障害を起こします。
年齢と体調をよく考えて行動したいものです。 お風呂へは熱処理で鍛える焼き入れではなく、
緩やかな加熱と徐冷が適していると考えています。
入浴と熱処理の関係については、家庭のお風呂で人体実験をしてみると理解が深まります。
お風呂の初期設定温度を42℃と44℃の2パターン、42℃の場合はさらに温度低下に任せるパターンと、
途中で43℃に上昇させるパターンをつくって実験してみました。
44℃は10分間しか入れませんが、42℃放冷パターンは1時間入浴が可能です。
途中で43℃に上昇させるパターンは、昇温してから約10分でお風呂からでてしまいます。
身体に快適で疲れがとれる入浴方法は、42℃浴槽内、つまり焼ならしです。
※ここまで引用
上記の内容のように、何かに例える事(置き換える事)で熱処理の難しさから開放され、
改めて熱処理の良さ、熱処理の内容を感じ、深められるのではないでしょうか。
今後も丁寧且つ解りやすくご紹介していきますので、引き続きご愛顧の程、宜しくお願い致します。
(Y.S.)
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#火曜日は熱処理の日 #金曜日は金属の日